三十三回忌

明日は祖父の三十三回忌。今朝、私は仕事明けの疲れを取ろうと湯船に漬かりながら、一度も会えなかった祖父が製鉄所で元気に働く一日を想像していた。家族想いで真面目だった祖父の働きっぷりと、帰宅してから家族との団欒を過ごしている時間も合わせて。

出社して作業服とヘルメットを被き、鉄粉と煤煙と熱の中で汗を流して働く祖父。仕事を終えて帰宅したけれども廊下を雑巾がけする祖父。嫁さんや娘たちの話に相槌を打ち微笑む祖父。眠る前、ふと故郷の鹿児島を想う祖父……。

祖母と母と叔母から聞いた話をつなぎ合わせた、想像というか一種の妄想だ。多少湯冷めしつつ、その事をしたためて、亡き祖父を偲ぶ。